【デメリット】フリーランスイラストレーターのなり方とリスクについて解説【社会保障】

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イラストを仕事にする上で、「会社員」か「フリーランス(個人事業主)」、もしくは「副業」などどのスタイルを取るか迷われている方は少なくありません。

在宅ワークが主流になりつつある現在、場所や時間にとらわれずに自由に働くことができるフリーランスの生活スタイルに憧れる一方で、手堅い会社員を選んだ方が生活が安定するのではないか?といった葛藤は画業をする上で必ずぶち当たる壁となるでしょう。

そこでこの記事では、画業におけるフリーランスと会社員を比較しながらメリット・デメリットを検証していこうと思います。

フリーランスとは?

最近よく耳にする「フリーランス」は、会社などの組織に所属せず、業務委託契約や売買契約など仕事に応じてクライアント(組織・個人問わず)と契約する人のことを指します。

そのため、「労働基準法」と呼ばれる労働法規が適用されないので、最低賃金や労働時間、休日、病気休暇など会社員を保護する制度からは対象外となります。

ただし、「下請代金支払遅延等防止法(いわゆる下請法)」は適用されるため、優越的地位の濫用行為から守られるなど、一部の保護は受けられます。

フリーランスのデメリット・メリット

デメリット

日本には、労働者を守る制度が沢山規定されている恵まれた国で、会社員であるだけで手厚い補償や福利厚生などを受ける権利を有します。

一方で、フリーランスは以下のようなデメリットがあります。

  1. 健康保険の傷病手当制度がない
  2. 厚生年金に入れない
  3. 社会的信用が低い
  4. 仕事量や収入が安定しづらい
  5. 有給・病気休暇がない
  6. ボーナスがない
  7. 確定申告を行う必要がある
  8. 孤独感を感じる
  9. 地域によって健康保険料が高くなる
  10. 失業手当がもらえない

健康保険の傷病手当制度がない

「傷病手当金」とは、会社員が加入している健康保険組合から、病気やケガで連続する3日間を含む4日以上仕事ができなかった場合に、申請すると標準報酬額の3分の2の金額が、最大で1年6カ月支給される制度です。

一方で、フリーランスやフリーターの方が加入する「国民健康保険」には、傷病手当金の制度が存在しないため、万が一の備えとして民間の保険に加入するなど、コストがかかります。

厚生年金に入れない

会社員になると、国民年金と厚生年金の二段階構成で年金を支払い、老後や何らかの障害を持った時のの年金支給額が、国民年金のみのフリーランスと比較すると多額になります。

ただ、厚生年金制度の代わりとなる「小規模企業共済」に加入すれば、掛け金が全額所得控除できるなど、同様のメリットを受けることができます。

そのほかにも「iDeCo」と呼ばれる確定拠出年金法に基づいて実施される私的年金制度などを活用して老後に備えることも可能なので、フリーランスだからと言って会社員が手にする老後の安定を得られないわけではありません。

社会的信用が低い

会社員であれば、その所属する企業の社会的信用に応じてカード審査やローンの借り入れ可能金額がきまります。

特に、大企業や公務員といった安定していると判断されやすい組織に所属している場合は、年収の10倍以上の住宅ローンを組めることもあり、非常に借金がしやすい特徴があります。

一方で、フリーランスは仕事量や収入が安定しないため、自分の収入よりもはるかに高額なローンを組むことができないことが大半で、住宅や車を購入する際は基本的に一括払いをする人が多いようです。

その他にも、クレジットカードの審査に通らない、婚活イベントや結婚相談所に登録できない、賃貸契約を渋られるなど、社会的信用が低いゆえに不都合が生じる可能性があります。

仕事量や収入が安定しづらい

会社員であれば、毎月固定給が支払われ、残業や夜勤をすれば法律に則り給与が支給されますが、フリーランスは全て獲得した仕事の報酬のみで生活していくので、その経済の情勢や自身のスキルなどにより収入が安定しづらいことが挙げられます。

有給・病気休暇がない

会社員には、決められた休日以外に任意で休日を指定して給与が発生しながら休める「有給休暇」や病気になったときに所属する組織の規定に則り、療養中に給与が出る「病気休暇」などの制度が存在します。

しかし、フリーランスは働いた分しかお金が発生しないため、会社員のような休暇制度を受けることはできません。

ただ、物販やブログなどの継続的な作業を伴わない収益源を作って休んでいる間も収入が発生する仕組みを作ることは可能です。

ボーナスがない

これは参加しているプロジェクトや契約内容により異なりますが、基本的に会社員のようなボーナス制度はありません。

フリーランスにとってボーナスに該当するものとしては、印税や販売数に応じたマージンを契約時に交渉することで、作業により発生した賃金以外の収益が発生します。

確定申告を行う必要がある

フリーランスは、予め税務署へ開業届を提出して青色申告の手続きを行い、自身又は税理士に依頼して確定申告の申請を行う必要があります。

ただ、イラストレーターの確定申告は非常にシンプルかつ、会計ソフトもわかりやすくて安価なものがリリースされているので、それほど難しいことはありません。

ちなみに、会社員であってもある程度収入が高い場合や医療費控除を受ける場合などには、確定申告する必要性がでてくるので、怖がる心配はありません。

孤独感を感じる

会社員であれば、出勤すると誰かしらと接点ができたり、飲み会・忘年会などで人との繋がりが作りやすい環境で過ごすことができます。

一方で、フリーランスは基本的にプロジェクト単位で人とやり取りして終われば、繋がりもなくなるので(個人的に仲良くなる場合は別)日々孤独感を感じる方は多いようです。

特に、イラストレーターは在宅作業でクライアントとのやり取りもメールやチャットアプリを使用して進めるので、誰とも会わずに仕事を進めるため、孤独感に苦しむ方が多いです。

今では、Twitterや作業通話グループを作ったりして、各々孤独感を感じないようにする工夫をしているようですが、やはり人間は対面で話す以上に孤独感を埋めるものはありませんので、定期的に飲み会やオフ会などで交流の場を作ってみるのがお勧めです。

地域によって健康保険料が高くなる

健康保険料は、田舎の人がいない地域ほど高額になる傾向にあるので、インターネットなどで安い地域を調べて住む場所を探す必要があります。

場所によっては、年間数十万円の差がでてくるので、医療サービスがイマイチなのに高額な健康保険料を支払うことのないように対策してください。

失業手当がもらえない

これは、副業で開業届を提出している場合も該当するのですが、フリーランスは失業保険に加入していないので、事業を廃業しても失業手当はもらえません。

メリット

フリーランスになると受けられる恩恵は以下のとおりです。

  1. 収入の上限がない
  2. 働く場所や時間が自由
  3. 上司から叱られない
  4. 仕事を選ぶことができる
  5. 家賃や電気代を経費に計上できる

収入の上限がない

会社員の場合は、採用時に月収やボーナスの金額が予め決められていて、年齢や成果に応じて収入が上がっていきますが、どれだけ成果を残しても決められた以上の金額を受け取ることはできません。

一方で、フリーランスの場合は、契約時に金額の交渉や商品の価格設定などを自分で決められるので、会社員では考えられないほどの金額を稼ぐことが可能です。

働く場所や時間が自由

最近では、会社員でも「スーパーフレックスタイム」と言って必ず出社しなければいけない時間が存在しない制度を採用している会社で働ければ、時間を自由に使えますが、まだまだ定時を決めて労働時間で給与が発生する仕組みのままの会社が大半です。

フリーランスは、納期はあれども期日までに完成させれば何時に働こうが、どこで働こうが誰からも何も文句を言われません。

イラストレーターは、特にインターネットさえ使えればどこでも仕事ができるので、旅行をしながらタブレットで仕事をする夢のような生活スタイルを実現することも可能です!

上司から叱られない

会社員が離職する原因の一つに「人間関係の悪化」が挙げられます。

特に、パワハラやセクハラ、モラハラなどのハラスメントを受けて精神的に苦痛を感じている会社員は少なくありません。

もちろん、フリーランスといえども納品期日を守らなかったり、ミスすればクライアントから御叱りを受けることがありますが、慢性的に特定の人物からの圧力はほとんどありません。

逆に、叱られないことがフリーランスのデメリットとして挙げる方もいますが、叱られて気分が良くなる人は特殊でしょう。

仕事を選ぶことができる

会社員は、その会社が行っている事業の中で割り振られた仕事を日々こなしていくことが基本となりますが、フリーランスの場合は、やりたくない仕事は契約しなければいいだけなので、好きな仕事を選ぶ権利があります。

ただ、スキルが高く、営業力も凄い優秀な人は好きな仕事だけで生活できると思いますが、駆け出しの頃は特にツライ仕事でも受けなければ生活できない状況になることが多いので、ただ権利があるというだけです。

家賃や電気代を経費に計上できる

イラストレーターの場合、家で仕事をすることになるので、仕事をしている時間分は家賃や光熱費を経費に計算することが可能です。

そのため、会社員よりも少しいい物件を借りて生活することも考えられますので、税理士やインターネットを活用して経費計上できるものはなるべく取りこぼしのないようにしたいところですね!

副業としてのイラストレーター

最後に、副業でイラストレーターをする場合は、年間で所得が20万円以上になると確定申告をする義務が生じますので、注意が必要です。

また、会社員をやりつつ画業の開業届を提出して、収入を事業所得として計算している場合、会社を辞めた時に失業保険が支払われないので、こちらも注意してください。

まとめ

日本は、会社員(正社員)が様々な制度で守られている国なので、何も対策しなくても万が一に備えた状態で日々過ごすことができます。

一方で、フリーランスの場合は会社員で受けれる保障を民間の保険で補ったり、様々な制度を活用して対策する必要があるので、自分でいろいろと調べる必要がでてきます。

ただ、しっかりと対策すれば会社員よりも収入が上がったり、おトクに生活することができるので、今の状況をじっくりと考えながら会社員として過ごすか、フリーランスとして過ごすかを決めるといいでしょう!

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