デジタルイラストを納品する際に注意しなければならないのがCMYKとRGBです。
これを誤ってしまうと、印刷したときの仕上がりに影響が出てきて、パソコン画面に表現されているものとは異なる色になってしまいます。
そこでこの記事では、CMYKとRGBの違いやClipStudiopaintでCMYKデータを作成する方法について解説していきたいと思います。
CMYKとRGB
モニタに表示されるデジタルイラストは、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の三色の光を重ね合わせて色を表現しています。(RGB)
そのため、コンピュータで表示されるカラーイラストはすべて上記で挙げたRGB形式の色データを持っていることになります。
一方で、印刷所や自宅のコピー機で紙などに印刷する際は、藍色(Cyan)、深紅色(Magenta)、黄色(Yellow)、黒(Keyplate)の4色からなるインクを網点で印刷して、各色を重ね合わせることで、さまざまな色を表現しています。(CMYK)
つまり、印刷用のデータはCMYKで表せるデータにしておかなければなりません。
一般的に、RGBデータよりもCMYKデータのほうが表現できる色の範囲(色域)が狭い傾向にあるのが特徴です。
そのため、CMYKで表現できない色域のものは、類似する色に変換されるため、色味が少しRGBデータと変化してしまいます。
クリップスタジオペイントでCMYKデータを作る方法
クリップスタジオペイントには、カラープロファイルプレビューというカラー変換する前に予め色味の変化を確認して補正できる機能があります。(作業はRGBのみで、CMYKはプレビューのみ)
※カラープロファイルプレビューはマシンパワーを必要としますので、スペックの低いパソコンで行う際は注意が必要です。
下記は、CMYKデータの作成手順です。
- 「表示」メニューから「カラープロファイル」→「プレビュー設定」を選択
- カラープロファイルプレビューから各項目を設定
- リアルタイムで設定の変更結果が表示されるため、随時確認
- 「ファイル」メニューから「画像を統合して書き出し」「.jpg」を選択
- 「書き出し設定」ダイアログの「表現色」を「CMYKカラー」にして「ICCプロファイルの埋め込み」にチェックし、保存
①プレビューするプロファイル
CMYKデータを作成する際は、印刷所やクライアントから指定されたカラープロファイル(ICCプロファイル)を選択します。
②レンダリングインテント
RGBからCMYKへカラー変換する際に、CMYK色域から外れる色をどのように変換するかを選択します。
- 「知覚的」会長のある色を重視してバランスをとります。
- 「彩度」カラー変換前後の最も明るい部分の差を比較して、明るさを保つ変換方法で、色の鮮やかさを重視します。
- 「相対的な色域を保持」色の鮮明さを再現することを重視する変換方法です。
- 「絶対的な色域を保持」オフセット印刷機をシミュレートして色校正をするハードプルーフ時に選択する変換方法です。
③使用ライブラリ
カラー変換に使用するライブラリを選択してください。(Windowsのみ選択可能)
PhotoshopなどのCMYKに対応したアプリケーションと連携する場合は、CLIP STUDIO PAINTと同じライブラリを使用する必要があります。(異なると色味が変わる可能性があります)
④色調補正
オンにしておくと、CMYKにカラー変換する際に色調補正することができます。(トーンカーブとレベル補正の2種類)
⑤設定の適用範囲
プレビュー設定で変更した内容の適用範囲を指定します。
- 「キャンバスに保存する」同じファイルを複数ウィンドウで開く場合、すべてのウインドウに設定内容が適用されます。
- 「このウインドウのみに設定する」設定変更は現在アクティブにしているウインドウのみに適用されます。
CMYKで保存する方法
作成したCMYKデータは、下記の方法で保存することができます。
- 「ファイル」メニュー→「画像を統合して書き出し」から「.jpg(JPEG)」「.tif(TIFF)」「.psb(Photoshopビックドキュメント)」「.psd(Photoshopドキュメント)」いずれかの形式を選択します。
- 「書き出し設定」ダイアログを表示し、「表現色」を「CMYKカラー」にして「ICCプロファイルの埋め込み」にチェックマークを付けて保存します。
仮にプロファイルを埋め込まずに保存すると、Photoshopなどのアプリケーションで開いたときに色味が異なる場合があります。
※プロファイルとは基準を設けて色を再現するというルールを記述したファイルのことで、画像に埋め込み色のずれを軽減します。
注意事項
クリップスタジオペイントで、イラストを制作している際は必ずRGB形式でデータを保持しているため、RGBからCMYKへ何度も変換すると、CMYK色域外の色を補正するため、元の色味から大きく変わってしまうことがあります。
また、CMYKで保存されたデータを再編集することも、CMYKデータを読み込む際に一旦RGBに変換するため、上記の理由から極力避けた方がいいでしょう。
RGB入稿とは?
最近では、自分でCMYKデータに変換しなくても、RGBのまま入稿して、印刷所がRGBデータをなるべく表現できるように調整してくれる方法があります。
同人誌などを作成する際は、対応している印刷所を探して、依頼してみてもいいのではないでしょうか。
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