アナログでイラストを描いていた時代は、パース定規を使って建築物を制作したり、花や小物など細かいアイテムは長い時間をかけてすべて手描きでした。
しかし、デジタルイラストが主流になった今は、スタンプ感覚で小物や建築物を描いたり、3Ⅾを使って複雑な構図やオブジェクトを素早く描けるようになりました。
そこで今回は、イラスト制作時短テクニックとおすすめ商品をご紹介します。
背景ブラシ

デジタルイラストのブラシは、自由な形に設定することができる上に、テクスチャを反映させることもできるので、さっとブラシを動かすだけで遠景の街並みや森林、住宅街などを描くこともできます。
上図の書籍には、そういった誰でも簡単に背景が描けるブラシがたくさん収録されているので、漫画・イラストの制作スピードを劇的に向上させることができます。
収録ブラシの適切な使い方や色の選び方なども書籍で解説されているので、背景の描き方・塗り方も学習することができます。
CLIPSTUDIOPAINTEXで最大限の時短を!
最もメジャーなペイントソフトであるCLIPSTUDIOには、ProとEXの2種類販売されています。
大きな違いは、Proはライトユーザー向け(主にイラスト制作中心の方向け)で、EXはプロユーザー向けといったところでしょう。
ここでは、ブラシ素材集や3Ⅾ素材集をさらに有効活用するために、EXでしか使えない便利機能をご紹介します。
LT変換
LT変換とは、EX版の機能である3Ⅾや画像を線画レイヤーとトーンレイヤーに分けて抽出することができるものです。
これまでは、3Ⅾや写真を用意して線画トレスを地道にするしかありませんでしたが、LT変換の登場で自動的にソフト側が線画とトーンに抽出してくれるようになり、背景の制作時間が劇的に速くなりました!
LT変換の基本的な使い方
LT変換ができるレイヤーの種類は下記のとおりです。
- ラスターレイヤー
- ベクターレイヤー
- 吹き出しレイヤー
- テキストレイヤー
- 画像素材レイヤー
- 3Ⅾレイヤー
- 集中線レイヤー
- 流線レイヤー
まずは、変換可能なレイヤーを読み込み、イラストに合うようにアイレベルや大きさなどをしっかりと決めてください。
次に、「レイヤー」パレットで変換するレイヤーを選択した状態で、「レイヤー」メニュー→「レイヤーのLT変換」をクリックします。(他にも「レイヤープロパティ」から「ライン抽出」→「レイヤーのLT変換を実行」をクリックすることでもできます)
最後に、「レイヤーのLT変換」ダイアログが表示されるので、各種設定を行い「OK」をクリックすると変換完了です。
より詳しい操作方法はCLIPSTUDIOTIPSをご参照ください。
輝度を透明度に変換
この機能は、白地に黒で線画が描かれているような画像の黒い部分のみ抽出する機能で、白い部分は透明になります。
操作方法は、まず任意のレイヤーを選択した状態で、「編集」→「輝度を透明度に変換」をクリックするだけです。
ブラシ素材の一部には白地の部分があるものもあるため、着彩する際に必要な場面も出てくるでしょう。
さらなる時短テクニック

ブラシ素材を活用することでもかなりの時短になりますが、さらなる時短テクニックをご紹介いたします!
構図決めに3Ⅾソフトを活用
キャラクターイラストを制作する際に最も難しいのが「構図決め」です。
白地用紙に鉛筆ツールで下描きをしながら模索するとなかなか思い通りの構図が見つからずに時間が掛かってしまったり、まったく思い浮かばない場面にも多く遭遇します。
一方で、3Ⅾソフトを活用すると想像ではなく、視覚的に構図をきめることができるので、比較的楽に構図を決めることができます。
さらに、下描きの下地にも使えるのでかなり便利です!
おすすめのソフトにデザインドールやイージーポーザーがあります。
なるべく主線をハッチングをしない
ハッチングとは、雨降り描きとも言われるような面を平行な線で埋める技法のことを指します。
これを主線を描くときにハッチングのように細かく途切れた線で描くと一本の線で描くよりも時間が掛かる上に、線画時にどの下描きを採用するか迷ってしまいます。
影を描写する際など、表現の一つとしてハッチングは有効ですが主線で使用することはあまりお勧めしません。
得意な向きの目や髪を活用
誰しも目を描く際は左右で得意な方があると思いますので、得意な方を描いた後、苦手な方はコピー&ペースト・反転して変形ツールなどである程度下地を作ってから清書するときれいに顔を描くことができます。
また、巻き髪など複雑で時間のかかる髪の毛を描く場合も一方を描いて、片方はそれをコピー&ペーストして反転すると時短になります。(左右対称で違和感を感じた場合はそれを下地にして描き加えたり直したりするといいでしょう)
オートアクション機能
CLIPSTUDIOには、操作を録画して保存し、次回起動時に同じ動作を自動で行ってくれる「オートアクション機能」があります。
毎回、下描きフォルダを下描きレイヤーに変更したりする必要がなくなるので描き始めの準備に対するハードルも下がると思います。
詳しい操作方法はこちらをご参照ください。
着彩されている3Ⅾ素材のイラスト化

色がついている3Ⅾ素材も多く存在するので、LT変換で線画抽出してから着彩してもいいのですが、さらに時短するために光と影を描き足して全体のコントラストを上げることでイラストっぽく仕上げる方法もあります。
特に、キャラクターにフォーカスしているような一眼風の背景だとガウスぼかしツールでぼやけているのでそのままでも十分に活用できます。
まとめ
デジタルだからこそ活用できる便利な機能は、年々増加しているのでこの機会にぜひ活用してみてください!
最近ではCLIPSTUDIOのアップデートで「ゆがみ」ツールが追加されたりと今回ご紹介した機能・テクニック以外にもたくさんあるので、ぜひ下のリンクにある書籍も参考にしてみてください!
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