合成モードとは?
CLIP STUDIO PAINTのレイヤーには、様々な合成モードを適用することができます。
合成モードとは、あるレイヤーの上に付加されたレイヤーをどのように合成を行うか指定する機能のことです。
つまり、レイヤーの色を微調整したり、様々な効果を表現したり、各合成モードによって特定のレイヤーを加工することが簡単にできるのです。
下のレイヤーを基本色といい、上のレイヤーを合成色、それらの合成で生まれる色を結果色といいます。
そこで今回は、いくつもある合成モードの特徴を解説していきます。
合成モードの種類と特徴
現時点で、CLIP STUDIO PAINTには、28種類もの合成モードが用意されています。
それぞれの特徴を見てきましょう!
通常
こちらは、最もよく使用する合成モードの一つで、下にあるレイヤーの色に色をそのまま重ねるだけのものです。
特に、変化をもたらすことはないので、新規レイヤーを作成すると必ず合成モードは「通常」に設定されています。
比較(暗)
下にあるレイヤーと「比較(暗)」に設定したレイヤーの色を比べて、より暗い方の色を採用して表示する合成モードです。
たとえば、上のレイヤー「比較(暗)」より下のレイヤーで明るい部分があれば、上のレイヤーの色が優先表示されます。
ちなみに、各RGBの数値が低い法を採用するので、暗い色を採用するといっても基本色とは異なる色になります。
使い所としては、古い本を表現したいときに、基本色となるレイヤーに表したい文字や絵を描いて、合成色に焼けた紙のようなテクスチャーを合成するとそれっぽくなります!
乗算
基本色のレイヤーと合成色のレイヤーの色を掛け合わせて合成するモードです。
元の色よりも暗い色になるので、アニメ塗りなどでは、影色を作成する際に用いられることが多い合成モードです。
焼き込みカラー
基本色のレイヤーの色を暗くして、コントラストを強くした上で、合成色の色を合成する銀塩写真の「焼き込み」のような表現に仕上げることができる合成モードです。
焼き込み(リニア)
基本色のレイヤーを暗くした後に、合成色のレイヤー色を合成します。
「乗算」とよく似ている合成モードですが、こちらのほうがややコントラストが強い印象です。
減算
基本色のレイヤー色と、合成色のレイヤー色を差し引いて合成するモードです。
基本色よりも合成後は、より暗い色になります。
比較(明)
基本色のレイヤーと、合成色のレイヤーの色を比較して、より明るい色を採用して、それぞれの色を合成します。
スクリーン
基本色のレイヤーを反転した状態で、合成色のレイヤーの色を掛け合わせて合成する「乗算」と真逆の効果を得られます。
基本色は、元よりも明るい色になるので、キャラクターイラストの全体的なハイライトに使ったりすることができます。
覆い焼きカラー
基本色のレイヤーを明るくして、コントラストを弱めます。
淡い色合いになるので、やわらかな印象に仕上がるでしょう。
覆い焼き(発光)
「覆い焼きカラー」よりもコントラストを弱めて、より淡い色合いになります。
加算
基本色のレイヤーと合成色のレイヤーの色を足します。
合成後は、明るい色に変化することになりますので、瞳などのハイライトに使用することが多いです。
加算(発光)
「加算」よりも明るい色になるので、強く発光させたいシーンで使うと効果的な合成モードです。
オーバーレイ
明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗く処理されるので、コントラストが強まります。
具体的には、明るい部分は「スクリーン」、暗い部分は「乗算」の処理が行われます。
ソフトライト
明るい色同士を重ねるとより淡い色合いになり、暗い色同士重ねると基本色を暗くしてコントラストを強めます。
つまり、重ねる色の濃度に応じて効果が異なります。
仕上げのフィルター処理に使用されることが多い合成モードです。
ハードライト
明るい色を重ねると 基本色は、元よりも明るい色になり、暗い色同士を重ねるとより暗く処理されます。
ソフトライト同様に、重ねる色の濃度に応じて効果が異なります。
差の絶対値
基本色のレイヤーと合成色のレイヤーの色を引いて、その絶対値を採用して先に描いた色の部分と合成するモードです。
つまり、同じ色のピクセルは黒く塗りつぶされるので、差分チェックなどに活用されるようです。
ビビッドライト
明るい色を重ねると「焼き込み」合成モードを適用して明るくし、暗い色を重ねると「覆い焼き」を適用してコントラストを強めます。
つまり、設定レイヤーの色に対して、コントラストに強弱をつけて合成するモードです。
リニアライト
設定レイヤーの色によって、明るさを増幅させたり、減少させたりして合成します。
ピンライト
設定レイヤーの色に応じて、画像の色を置換して合成するモードです。
ハードミックス
「差の絶対値」よりもコントラストが低めに合成されるモードです。
設定レイヤーが白の場合は、設定レイヤーの色が反転して合成され、黒の場合は、基本色がそのまま表示されます。
除外
設定レイヤーのRGBの各値を基本色のレイヤーのRGBの各値に追加します。
カラー比較(暗)
合成色と基本色の輝度を比較して、値が低い方の色を表示する合成モードです。
カラー比較(明)
合成色のレイヤーと基本色のレイヤーの輝度を比較して、値が高い方の色を表示する合成モードです。
除算
基本色のレイヤーの各RGB値を、合成色のレイヤーの明度で割ります。
色相
基本色レイヤーの明度と彩度の値を維持したまま、合成色レイヤーの色相を適用します。
彩度
基本色レイヤーの明度と色相を維持したまま、合成色レイヤーの彩度を適用します。
カラー
基本色のレイヤーの明度の値を維持したまま、合成色のレイヤーの色相と彩度を適用します。
輝度
基本色のレイヤーの色相と彩度の値を維持したまま、設定レイヤーの輝度を適用します。
どうして合成モードがこんなにも多いのか?
直接「通常レイヤー」で思い描いた色を乗せていくのも一つの方法ですが、合成モードを使用すると元画像(基本色)に手を加えることなく何度でもやり直しが効く点が最大のメリットではないかと思います。
深く学習していくとRGBの詳しい数値の変化を見ていくことになりますが、キャラクターイラストを作成する段階では、ある程度の合成モードの特徴を学習するだけで、段違いに見栄えが良くなります。
CLIP STUDIO PAINTには、合成モード以外にも、様々なフィルターが用意されているので、別の記事で深堀りしていきたいと思います!
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